開発物語 vol.9 IH自販機
販売時に商品を温めるという発想、IH自販機が不可能を可能にした。

「もっと美味しいミルクティが飲みたい!」

乳分が多い商品をHotで提供したい…お客様から寄せられる声のなかに、「ミルク分たっぷりの美味しいミルクティがホットで飲みたい」というご要望が多いことに気付きました。ただ、乳分の多い商品の場合、長時間、加温状態のままで、品質を保つことは難しい問題です。そんな中、北海道産生乳を70%使用、生乳と生クリームで仕上げた『濃厚ミルク紅茶』が、まさにお客様の声にお応えするカタチで生まれました。この商品を何とかホットでお客様にお届けしたい。そんな気持ちが、お買上げ頂く直前に商品を温めるという発想に繋がりました。

25年前は失敗? 教訓を生かして肉声とアイデアで成功!

IH機能を組み込んだ自販機開発に向けて、IH自販機(=インダクションヒーティング)に着目したことは、開発期間をわずか2年半に短縮できた大きな要因です。火を一切使わずに、電力が流れることで発生する電磁線によって鍋やフライパンを温めるIHクッキングヒーターの原理は、まさに自販機に打ってつけでした。IH自販機も同様に電磁線がスチール缶を流れることで鍋の働きをし、中身を温めることができます。
ただ問題が一つ。それはIH機能の搭載場所でした。従来の自販機を使いながらできる限り最小限の改良で完成させるために、自販機の図面に幾度となく手が加えられました。その結果、製品の収納庫を小さくすることなくIH機能を収めることができたのですが、いよいよ開発も終盤にさしかかろうとした時、さらに大きな問題が発生しました。

温度むらのない、加温技術を研究

缶を回転させながら温めるIH機能を応用することで商品を温めることはできたのですが、缶の外は持てないほど熱いのに中身は温まっていなかったり、温度むらが生じたりしました。鍋で温める場合は掻き回せばいいのですが、自販機ではできません。

IH自販機は、「あたたかい」と「ぬるめ」の2段階のホット商品を販売できるそこで、缶をくるくると回転させながら温めることで、温度むらもなく、程よい温度に調整できることがわかり、IH機能に商品を回転させる仕組みを付け加えました。それはちょうど、ひと昔前の電子レンジに回転テーブルが着いていたのと同じ原理です。
こうして、今では温度調整も可能となり、「あたたかい」と「ぬるめ」の2段階のホット商品を販売できる自販機となりました。

約30秒の加温で省エネにも貢献

IH自販機の目印IH自販機に納められている商品は外気温に応じて、常温もしくは冷蔵で保存されています。基本的には常温で保存されていることが多いため、IH自販機は低消費電力を実現し、同型機種と比較して約37%(2005年度当社同型機種との比較 カタログ値)も省エネです。

おでんなどの商品も取り扱い可能にさらに、加温時にはセンサーを駆使し商品の適温を測定し、温め過ぎを防ぐ工夫もしています。これにより乳分の多い商品をはじめ、おでんや中華そば、カレーうどんなどの商品を取り扱うこともできるようになりました。
すこし前まで、食品の加温販売はとても難しい問題でしたが、IH自販機がその可能性を大きく切り拓きました。人々の暮らしに役立つ自販機はこれからも進化し続けます。


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