日本の祭りを訪ねて
第36回「刈和野の大綱引き」のご紹介
 
刈和野の大綱引きの風景(1)

小さい頃、運動会や体育の時間に「綱引き」をした記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。無邪気にただ綱を引っ張る。それだけなのに、冬でも体がぽかぽかしてくるほど、必死にがんばった方もきっといらっしゃるでしょう。

さて、今回ご紹介するのは、その綱引きに祈りを込めた祭りです。

秋田県大仙市西仙北地区にある刈和野(かりわの)駅。駅を出てまず驚くのが、ガラスに覆われた建物の中に横たわる大きな綱。この地区で2月に行われる「刈和野の大綱引き」のレプリカが飾られているのです。

「刈和野の大綱引き」は、約500年以上の伝統を誇る行事です。二日町を「上町」、五日町を「下町」と呼び、この二町で、太さ2.2mもある綱を引き合います。上町が勝つとその年のお米の値段が上がり、下町が勝つとその年は豊作になるのだとか。どちらが勝っても農家の方々にはありがたいお話です。

その一方、それほどの大綱を作るのは大変な作業で、地元の方々は約1ヶ月かけて作るのだそうです。使用する稲ワラは約7000束。現在では、1年も前から農家の方々に予約を入れなければならないほど確保が難しくなってきているようです。

そうしてできた綱は、上町の綱が「雄綱(おづな)」、下町の綱が「雌綱(めづな)」と呼ばれ、大綱引きの約一週間前から当日まで町の大町通りに飾られます。

 
刈和野の大綱引きの風景(2)

そして祭り当日。市神様(いちがみさま)への神事が執り行われた後、いよいよ2本の綱を結び、綱引きが始まります。綱を結ぶといっても太さが周囲、約2.2mもある綱です。数人の男性がようやく結び終わると、集まった人々から歓声があがり、引き合いが始まります。

2011年は雪が降りしきる中、20分以上も引き合いが続き、最後に上町が勝利しました。今年はどちらが勝つか楽しみです。

ところで、この「刈和野の大綱引き」の由来は、室町時代に遡ります。一説では、平将門(たいらのまさかど)の一族、長山氏が市が盛んに行われていたこの地に住み着き、氏神でもある「市神様」を祀るため綱引きを用いたのが始まりだとか。勝った方にその年の「市場開設権」を与えていたそうです。それ以来、約500年間、一度も欠かしたことのない神事と聞くと、これは何があっても守り継いでほしいですよね。

 
刈和野の大綱引きの風景(3)

元々平安の頃に中国から日本に渡って来た綱引きは、その後、日本全国で神様を祀ったりお盆やお正月などの儀式として用いられてきました。そう考えると、運動会で綱引きを競うのも、立派な「日本の伝統」の継承に役立っているのかもしれません。

米の栽培が盛んで美しい水に恵まれているとあって、地酒も楽しみなところ。大仙市には酒造見学ができる蔵も充実しています。

冬の秋田で日本最大級の大綱引きを鑑賞し、夜は地酒を熱燗にして飲み体を温める。そんなほっこりした旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 
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