自販機の未来とは?自動販売機マニア・石田健三郎さんとの座談会
2025.11.18
石田さん
今は「キャッシュレス決済」が自販機における一番の進化だと思っていて、ユーザー側からすると「現金がないから買えない」といった購入機会の損失がなくなりますし、オペレーター側にとっても自販機から現金を回収する手間が省けるといったように、双方にとって最適な状態に進化したと感じています。
キャッシュレス決済の仕組みは突然生まれた技術ではなく、これまでのデジタル技術が徐々に進化したことで生まれたものですよね。
今後も、現在進化している技術が徐々に形になって自販機の進化にも繋がると思っています。
個人的には、アプリを立ち上げる必要すらない、よりスムーズな購入体験が実現するといいなと思います。
現在、様々なキャッシュレス決済のアプリがありますが、 “アプリを立ち上げる”って、ちょっとしたことですが実はとても面倒だったりしますよね。
最終的にはアプリを立ち上げる必要がなく、指紋認証などで「キャッシュレス」がさらに「シームレス」になり、よりスムーズに購入が可能になるような仕組みが実現したらいいなと思います。
自販機営業企画部 武田
私たちメーカー側からするとキャッシュレス決済は自販機の「オプション」という位置づけですが、お客様からすると、キャッシュレス決済は「当たり前のもの」。
キャッシュレス決済機能を自販機に搭載するにはハード面のコストやランニングコストがかかるものの、「完全キャッシュレス」、またその先の「シームレス」になれば、中長期的な目線で見た時に費用対効果は十分にあると感じています。
例えば、自販機内に搭載しているコインメック※1やビルバリデータ※2が不要になれば、部品コストやメンテナンスコストの削減につながります。 お客様にとっての「当たり前」を整えることが、私たちにとっても大きな価値になります。
※1: 自販機内部に搭載されているつり銭機能内蔵(硬貨循環式)セレクター
※2: 自販機内部に搭載されている紙幣識別機
法人営業部 大阪オフィス 水野
「おしゃべり機能」は、お客様に「自販機がおしゃべりできるなんて、すごいですね!」
と、驚きの声をいただくことが多いです。
自販機からの季節の挨拶を通じて、お客様に四季の移ろいを感じてもらえるのも、この機能ならではの魅力で、面白いですよね。
今は一方的な発信ですが、今後は双方向のコミュニケーションができるといいなと思います。自販機が単なる“飲み物を買う場所”から、“ちょっとした会話を楽しめる存在”へと進化するかもしれません。
例えば、海外のお客様が自販機に質問すると、自販機がその人の好みに合った商品を提案するなど、“おもてなし”ができる自販機があれば、きっと「サプライズ」を届けられるはずです。日本ならではの細やかな気配りが、自販機という形で表現されるのはとてもわくわくすると思いますし、日本の自販機文化が世界に広がっていく未来も、夢ではないと思います。
自販機営業企画部 武田
コミュニケーション不足が課題とされる今だからこそ、当社の「おしゃべり機能」には、より一層の価値があると感じています。この機能は、当社の自販機には以前からあるものですが、あらためて振り返ると、お客様との双方向コミュニケーションを実現できる可能性を秘めていると感じました。
今後は、キャッシュレス技術の進化と連動することで、よりパーソナライズされた提案ができるようになれば、一人ひとりに合った「元気」をお届けできるのではないでしょうか。 例えば、お客様の購買履歴や嗜好に応じた商品提案や会話内容の最適化などが実現すれば、お客様とっても企業にとっても、まさに“Win-Win”の関係が築けるはずです。
販売統括部 池田
キャッシュレス化やデータ活用など、ソフト面の技術は大きく進化しています。気温に応じて冷たい飲料や温かい飲料を提案したり、場所によって売れ筋が変わる傾向をAIが予測したりと、販売データの活用が進んでいます。さらに、お祭りや音楽フェスなどの突発的なイベント時にも、データを活用することで売り切れがつかないように対応することが可能になるはずです。また、例えばスマートウォッチなどのデバイスと連動することで、より高度なパーソナライズも実現できるでしょう。デジタル技術との融合が今後の鍵です。
「求められるものを、求められる場所に置く」。そんな当たり前のことを、これからも当たり前にし続けていくことで、お客様に「安心」をお届けしたいですね。
自販機営業企画部 大植
医療機関の検診サービスに「Drink Pay※4」を提案した際、お客様から「そんなこともできるんですね!」という驚きの声をいただきました。「Drink Pay」がもつインパクトの強さを実感しました。
また、私は「女性ヘルスケア応援自販機※5」を担当しています。生理用ナプキンの購入に対して、「見られると恥ずかしい」と感じる方もいらっしゃると思います。
そうした課題に対しても、「人を介さない」という自販機の特性は、大きな価値を発揮します。さらに、HAKUのように「自分が何を買っているか周囲にはわからない」設計は、プライバシーに配慮した新しい購入体験、「安心」を提供できるだけでなく、自販機の新たなブランディングにもつながると感じています。
自動販売機マニア 石田健三郎さん
「鹿せんべい自販機」は、その思想にとても感銘を受けました。単に鹿せんべいを販売するだけでなく、鹿をはじめとした地域全体を守るという考え方が根付いている点は、他社にはないDyDoさんならではの魅力だと思います。
自販機は、日本を代表する文化の一つです。日本では当たり前の存在ですが、世界から見れば「こんなことができるのか!」と驚かれるような、誇るべき存在。それが、私にとっての“自販機”です。だからこそ、こうした自販機の魅力をもっと世界に知ってもらいたいと思っています。DyDoさんには地方創生や海外展開の拡大といった取り組みを通じて、自販機の可能性をさらに広げていってほしいと強く願っていますし、それを実現できるのは、DyDoの社員のみなさんだと思っています。これからも、DyDoさんの挑戦に大いに期待しています。
